第1問:不動産登記法(区分建物の表題登記申請義務者)

問: 新築マンションの一室(区分建物)を分譲業者(原始取得者)から購入した者(特定承継人)は、自己が取得した当該区分建物について表題登記を申請する義務を負う。

答: ×

解説: 不動産登記法47条1項は「新築した建物の所有権を取得した者」に1ヶ月以内の表題登記申請義務を課しており、区分建物については同法48条1項により一棟の建物に属する全区分建物を一括して申請しなければならない。 特定承継人(購入者)は「新築した」者ではなく、47条1項の申請義務を負わない。申請義務は原始取得者(分譲業者等)に帰属し、1棟全体をまとめて表題登記申請することで、建物全体の物理的状況を統一的に公示するという制度趣旨による。


第2問:土地家屋調査士法(懲戒の種類と権限)

問: 土地家屋調査士に対して懲戒処分を行う権限は法務大臣にあり、処分の種類は「戒告」「2年以内の業務の停止」「除名」の3種類とされている。

答: ×

解説: 懲戒権者が法務大臣である点は正しい。処分の種類も同条に規定されており、正しくは①戒告、②2年以内の業務の停止、③業務の禁止の3種類である(土地家屋調査士法42条)。「除名」という処分種類は存在しない。「業務の禁止」は調査士としての業務を永続的に禁止する最も重い処分であり、資格の剥奪に準じる効果を持つ。 なお、土地家屋調査士会が独自に懲戒権を行使することはできない。会則に基づく注意・指導等の内部措置と法定懲戒処分は別物である。


第3問:民法相隣関係(令和3年改正・竹木越境枝の自力切除)

問: 隣地の竹木の枝が境界線を越えて自己の土地に侵入してきた場合、土地所有者は竹木の所有者等に対して枝を切除するよう請求することができるにとどまり、いかなる場合も自らその枝を切り取ることはできない。

答: ×

解説: 令和3年改正民法(令和5年4月1日施行)により、民法233条が改正された。改正前は「枝は請求のみ、根は自ら切除可」という原則だったが、改正後は以下のいずれかを満たす場合、土地所有者が自ら枝を切り取ることができる(民法233条3項)。

①竹木の所有者等に催告したにもかかわらず相当期間内に切除されないとき ②竹木の所有者等を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき ③急迫の事情があるとき

なお、根の越境については従来どおり自力切除が可能である(同条4項)。改正の前後で結論が逆転する重要論点であり、施行年月日(令和5年4月1日)とともに正確に記憶すること。


第4問:測量計算(座標法の平行移動不変性)

問: 座標法(ガウスの公式)による面積計算において、多角形の全頂点座標を同一の定数だけX軸・Y軸方向に平行移動させると(全座標に同一値を加算または減算すると)、計算される面積の値は変化する。

答: ×

解説: ガウスの公式(座標法)による面積計算式は次の通りである。

$$2S = \left|\sum_{i=1}^{n}(x_i \cdot y_{i+1} - x_{i+1} \cdot y_i)\right|$$

各項は隣接頂点間の座標の差(相対値)に依存しており、全座標に同一定数 $(\Delta x, \Delta y)$ を加えた場合、各項の差分は変化しない。すなわち、座標系を平行移動しても面積は不変である。 これは測量実務において重要な性質であり、計算の便宜上、任意の点を原点として座標変換(平行移動)を行っても面積計算結果に影響を与えない根拠となっている。


第5問:地積測量図(任意座標系の許容)

問: 地積測量図に記録する筆界点の座標値は、必ず世界測地系による平面直角座標系(国土交通省告示による19系)によらなければならず、任意座標系(局所座標系)による座標値を記録することは一切認められない。

答: ×

解説: 不動産登記規則77条1項8号は、地積測量図に記録すべき筆界点の座標値として「基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値」を規定する。しかし、同条2項により、近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合は、「近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値」を記録することが認められている。 「一切認められない」とする本問の記述は誤りである。離島や山間部等、基準点が整備されていない地域では、近傍の恒久的地物を基準とした座標値が実際に用いられており、この例外規定の存在を把握していないと実務・試験ともに誤りを犯す(一次資料での確認を推奨)。


出題分野の振り分け

科目 主要条文・根拠
第1問 不動産登記法(表示登記) 不動産登記法47条1項・48条1項
第2問 土地家屋調査士法 土地家屋調査士法42条
第3問 民法相隣関係 民法233条3項・4項(令和3年改正)
第4問 測量計算 ガウスの公式(座標法・平行移動不変性)
第5問 地積測量図(作図・書式) 不動産登記規則77条1項8号・2項