計算問題を除き、知識の確認を目的とした一問一答10問です。各問に詳しい解説を付けています。「なぜそうなのか」を理解することを重視してください。
問1 測量士と測量士補の違い
問: 測量士と測量士補は、それぞれ何ができるか。測量法の規定に基づいて答えなさい。
答:
- 測量士 → 測量に関する計画を作製し、または実施する
- 測量士補 → 測量士の作製した計画に従い、測量に関する作業に従事する
解説:
根拠は測量法第48条です。ポイントは「計画を立てられるかどうか」です。
| 計画の作製 | 作業への従事 | |
|---|---|---|
| 測量士 | ○ できる | ○ できる |
| 測量士補 | × できない | ○ できる(士の計画が必要) |
測量士補は「測量士が立てた計画の範囲内でしか動けない」という制約があります。試験では「測量士補が独自に計画を作れる」という引っかけが頻出です。
問2 基本測量と公共測量の違い
問: 「基本測量」と「公共測量」はそれぞれどのような測量か。測量法の定義に基づいて答えなさい。
答:
- 基本測量 → 国土地理院が行う、すべての測量の基礎となる測量
- 公共測量 → 国・地方公共団体等が費用を負担し、基本測量の成果を使用して行う測量(基本測量以外のもの)
解説:
根拠は測量法第4条・第5条です。測量の種類には以下の階層構造があります。
基本測量(国土地理院が実施)
↓ 成果を利用
公共測量(国・地方公共団体等)
↓ 成果を利用
民間測量(基本・公共以外)
重要な区別点:
- 基本測量 = 実施主体は国土地理院のみ
- 公共測量 = 基本測量の成果を使う + 国等が費用負担
- 公共測量には作業規程の準則(国土交通省告示)が適用される
「県が行う地籍調査」は公共測量、「国土地理院が行う三角点設置」は基本測量です。
問3 日本測地系2011(JGD2011)と準拠楕円体
問: 現在の日本の測量で使用する測地系と準拠楕円体を答えなさい。また、旧測地系との違いを述べなさい。
答:
- 現在の測地系:日本測地系2011(JGD2011)
- 準拠楕円体:GRS80楕円体(長半径 6,378,137 m)
旧測地系(日本測地系)はベッセル楕円体を使用しており、JGD2011との間には数百メートルの座標のずれがある。
解説:
| 測地系 | 準拠楕円体 | 備考 |
|---|---|---|
| 旧日本測地系 | ベッセル楕円体 | GNSS座標と大幅にずれる |
| 日本測地系2000(JGD2000) | GRS80楕円体 | 2002年測量法改正で導入 |
| 日本測地系2011(JGD2011) | GRS80楕円体 | 現行。東日本大震災後の地殻変動を反映 |
「現在はベッセル楕円体を使う」という記述は誤りです。試験では「GRS80楕円体」という名称と「東日本大震災後に改定された」という経緯が問われます。
問4 平面直角座標系のX軸・Y軸の向き
問: 測量で使用する平面直角座標系では、X軸・Y軸はそれぞれどの方向を正とするか。数学の座標系と比較して答えなさい。
答:
- X軸 → 北方向が正(+)
- Y軸 → 東方向が正(+)
数学の座標系(X軸が東、Y軸が北)とX・Yが入れ替わっている。
解説:
これは非常に頻出の引っかけ問題です。
【数学の座標系】 【測量の座標系(平面直角座標)】
Y↑(北) X↑(北)
| |
──────┼──────X→(東) ──────┼──────Y→(東)
| |
なぜ逆にしているのか:測量では「北を基準に角度(方向角)を測る」慣習があるため、北方向をXとして体系を統一しています。
日本の平面直角座標系は19系統あり、それぞれ異なる原点を持ちます(測量法第11条・平成14年国土交通省告示第9号)。「X軸が東」という選択肢は誤りです。
問5 等高線の種類と特徴
問: 地形図に描かれる等高線の種類を4つ挙げ、それぞれの特徴を答えなさい。
答:
| 種類 | 線の表示 | 間隔 |
|---|---|---|
| 計曲線(けいきょくせん) | 太い実線 | 主曲線5本ごと |
| 主曲線(しゅきょくせん) | 細い実線 | 基準間隔 |
| 間曲線(かんきょくせん) | 細い破線 | 主曲線の1/2 |
| 補助曲線(ほじょきょくせん) | 細い点線 | 主曲線の1/4 |
解説:
等高線の基本性質(これも出題される):
- 等高線は必ず閉じた曲線になる
- 等高線同士は(オーバーハング部分を除き)交わらない
- 傾斜が急なほど等高線の間隔が狭い
- 等高線は尾根・谷に直角に交わる
問6 空中写真のオーバーラップ(重複度)
問: 航空写真測量において、隣り合う写真同士の重複度の標準値を答えなさい。縦方向・横方向それぞれについて述べること。
答:
- 縦重複(エンドラップ):同一コース内で隣り合う写真 → 60%以上
- 横重複(サイドラップ):隣接コース間の写真 → 30%以上
解説:
なぜ重複が必要か:
- 立体視(ステレオ観測)のために、同じ地点が2枚以上に写っている必要がある
- **死角(撮影漏れ)**を防ぐため
縦60%・横30%という数値は公共測量作業規程の準則に基づきます。「縦30%、横60%」と逆にした引っかけが頻出です。縦(同一コース内)のほうが重複率が高いことを覚えておいてください。
問7 GNSS測量の観測方法の違い
問: GNSS測量の主な観測方法として「スタティック法」と「RTK法」を比較し、それぞれの特徴を答えなさい。
答:
| スタティック法 | RTK法 | |
|---|---|---|
| 観測時間 | 長い(数十分〜数時間) | 短い(数秒〜数分) |
| 精度 | 高い | やや劣る |
| 結果の確認 | 後処理(事後解析) | リアルタイム |
| 主な用途 | 基準点測量 | 地形・地物の細部測量 |
解説:
GNSS測量方法を精度が高い順に並べると:
- スタティック法(長時間・高精度・後処理)
- キネマティック法(移動しながら連続観測)
- RTK法(リアルタイム・短時間)
- ネットワーク型RTK法(基準点不要・広域対応)
ネットワーク型RTK法は、複数の電子基準点のデータを組み合わせて「仮想基準点」を生成し、現地に基準点を設置しなくても高精度測量ができる方法です。近年の試験で出題頻度が上がっています。
問8 トラバース測量の種類
問: トラバース(多角)測量の3つの種類を挙げ、それぞれの特徴と精度検証のしやすさを答えなさい。
答:
| 種類 | 形状 | 精度検証 |
|---|---|---|
| 閉合トラバース | 同一既知点に戻る閉じた多角形 | 閉合差(誤差)を確認できる |
| 結合トラバース | 別の既知点へ結ぶ | 閉合差を確認できる★最も信頼性高い |
| 開放トラバース | 既知点から未知点へ | 精度検証できない |
解説:
精度が高い順:結合トラバース > 閉合トラバース > 開放トラバース
開放トラバースは「誤りが蓄積してもわからない」ため、精度保証が必要な測量では使用を避けます。試験では「精度検証ができるのはどれか」という問い方も頻出です。
問9 誤差の分類
問: 測量における誤差を3種類に分類し、それぞれの特徴と対処方法を答えなさい。
答:
| 種類 | 特徴 | 対処方法 |
|---|---|---|
| 偶然誤差 | 大きさ・方向が不規則に変化 | 最小二乗法・繰り返し観測 |
| 系統誤差 | 一定の方向・大きさで生じる | 補正(器械の校正等) |
| 過誤(錯誤) | 読み間違い・計算ミス等 | 点検・再測 |
解説:
偶然誤差:真値に対してプラス・マイナスにランダムにばらつく(正規分布)。たくさん測れば平均が真値に近づく性質がある。
系統誤差:常に同じ方向にずれる。器械の目盛りずれや温度による鋼尺の伸縮などが原因。最小二乗法では消せないため、事前の補正が必要。
試験で重要なのは「最小二乗法で処理できるのは偶然誤差のみ」という点です。「系統誤差も最小二乗法で消せる」という選択肢は誤りです。
問10 水準測量の基本事項
問: 水準測量において「後視」と「前視」とは何か。また、2点間の高低差を求める式を答えなさい。
答:
- 後視(こうし):高さがわかっている点(既知点)の標尺を読む観測
- 前視(ぜんし):高さを求めたい点(未知点)の標尺を読む観測
高低差 = 後視の読み − 前視の読み
(プラスなら前視点の方が高い、マイナスなら前視点の方が低い)
解説:
計算例:
- A点(後視)の既知標高:50.000m、後視の読み:1.500m
- B点(前視)の読み:0.800m
- 高低差 = 1.500 − 0.800 = +0.700m
- B点の標高 = 50.000 + 0.700 = 50.700m
水準測量の重要原則:
- 往復観測を行い、**往復差(閉合差)**で精度を確認する
- 視準距離はなるべく等しくする(器械誤差・大気の影響を打ち消すため)
- 標尺は鉛直に立てる(傾くと読み値が大きくなる)
まとめ:頻出度一覧
| 問 | 論点 | 頻出度 |
|---|---|---|
| 問1 | 測量士・測量士補の定義(測量法第48条) | ★★★ |
| 問2 | 基本測量・公共測量の区別(同第4・5条) | ★★★ |
| 問3 | JGD2011・GRS80楕円体 | ★★★ |
| 問4 | 平面直角座標X・Y軸の向き | ★★★ |
| 問5 | 等高線の種類 | ★★☆ |
| 問6 | 空中写真のオーバーラップ(縦60%・横30%) | ★★★ |
| 問7 | GNSS測量の観測方法比較 | ★★★ |
| 問8 | トラバース測量の種類 | ★★☆ |
| 問9 | 誤差の3分類(偶然・系統・過誤) | ★★☆ |
| 問10 | 水準測量の後視・前視 | ★★★ |
特に問4(X・Y軸の逆転)・問6(重複度の縦横)・問7(GNSS方法の違い)は「逆にした選択肢」が引っかけとして出やすい論点です。繰り返し確認してください。