(土地家屋調査士試験ブレーンによる試案)
はじめに
本記事は、土地家屋調査士試験を受験される中級以上の方を対象とした一問一答形式の問題集です。各問題の解説は執筆時点の法令に基づく一般論であり、個別事情によって判断が異なる場合があります。条文・計算手順の最終確認は一次資料(e-Gov法令検索・測量計算の標準的手順)にて行ってください。
第1問:不動産登記法(表示)― 区分建物の床面積算定
問: 一棟の建物の一部を区分した区分建物(マンション)の専有部分の床面積は、壁その他の区画の中心線(壁芯)で囲まれた部分の水平投影面積によって算定する。
答:×
解説: 不動産登記規則115条は、建物の床面積算定方法について「各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積」と規定する。通常の建物(非区分建物)は壁芯面積、区分建物の専有部分は内法面積(内側線)で算定する。本問の「壁芯で算定」とする記述は誤りである。この差異により、同じ空間でも区分建物の登記上の床面積はパンフレット等の壁芯表示よりも小さくなることが多い。
第2問:土地家屋調査士法(応諾義務)
問: 土地家屋調査士には依頼に応じる義務(応諾義務)が定められているが、土地家屋調査士法人が受ける依頼にはこの規定は適用されず、業務を自由に拒絶することができる。
答:×
解説: 土地家屋調査士法第22条は、正当な事由がある場合でなければ依頼を拒んではならない旨の応諾義務を個人の調査士に定める。土地家屋調査士法人についても、同法第41条第1項が第22条を法人に準用しており、法人の業務においても社員・使用人たる調査士を通じて応諾義務が及ぶ構造となっている。「法人の業務には適用されない」とする本問は誤りである。
第3問:民法(相隣関係・竹木の越境)
問: 隣地の竹木の枝が境界線を越えて自己の土地に侵入している場合、令和3年民法改正(令和5年4月1日施行)後においても、土地所有者が自ら枝を切除できるのは、竹木の所有者に催告したが相当期間内に切除されなかった場合に限られる。
答:×
解説: 改正民法233条3項は、土地所有者が自ら越境した枝を切除できる場合として、①竹木の所有者への催告後に相当期間内に切除されない場合(同項1号)、②竹木の所有者が不明または所在不明の場合(同項2号)、③急迫の事情がある場合(同項3号)の3つを定めた。本問の「催告に応じない場合に限られる」は同項1号のみを念頭に置き、催告不要で切除できる2号・3号を見落としているため誤りである。
第4問:測量計算(座標法による面積計算)
問: 下記3点を頂点とする三角形の地積を座標法(ガウスの公式)で求めると21.00㎡となる。
- A点(X座標=2m、Y座標=3m)
- B点(X座標=8m、Y座標=1m)
- C点(X座標=5m、Y座標=9m)
答:○(21.00㎡)
解説: ガウスの公式を適用する。
$$2S = |X_A(Y_B - Y_C) + X_B(Y_C - Y_A) + X_C(Y_A - Y_B)|$$
$$= |2 \times (1-9) + 8 \times (9-3) + 5 \times (3-1)|$$
$$= |-16 + 48 + 10| = |42|$$
$$\therefore S = 42 \div 2 = 21.00 \text{㎡}$$
符号ミス・座標の取り違えが典型的な失点源。計算プロセスの再現性を確実に身につけること。
第5問:作図書式(地積の記録単位)
問: 不動産登記規則に基づき、土地の登記記録に記録する地積は一律に0.01平方メートルの単位をもって表示しなければならないが、地積が10平方メートル未満の土地については、より精密な0.001平方メートルの単位で表示することが認められている。
答:×
解説: 不動産登記規則第100条は、地積の記録単位を「0.01平方メートル(宅地・鉱泉地以外の土地で10平方メートルを超えるものは1平方メートル)を単位とし、それ未満の端数は切り捨てる」と規定している。「0.001平方メートル単位が認められる」という例外規定は存在しない。なお地目・面積によって記録単位が異なる点(宅地等は0.01㎡、田・畑等で10㎡超は1㎡)も試験上の重要ポイントである。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 区分建物の床面積算定(内法 vs 壁芯) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 応諾義務の個人・法人への適用 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 竹木の枝越境と自ら切除できる3要件 |
| 第4問 | 測量計算 | 座標法(ガウスの公式)による面積計算 |
| 第5問 | 作図書式 | 地積の記録単位(100条) |