第1問【不動産登記法(表示)— 分筆と地目変更の同時申請】

問:地目「宅地」の甲土地を分筆し、分筆後の一方を「雑種地」とする変更が生じた場合、分筆の登記と地目変更の登記を同時に(一括して)申請することができるか。

答:できる。

解説:不動産登記規則35条7号は、「表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記及び土地の分筆の登記若しくは合筆の登記」を同一の申請情報で申請できると定めている。地目変更は「表題部の登記事項に関する変更の登記」に該当するため、分筆登記との一括申請が認められる。地目は現況主義(不動産登記事務取扱手続準則68条)で判断され、現地調査の結果が雑種地的利用実態と認められる場合に変更が認容される。一括申請できるケースと別々に申請しなければならないケースの区別は書式問題で問われやすい。


第2問【土地家屋調査士法 — 辞任と義務】

問:土地家屋調査士が依頼を承諾した後、依頼者に重大な背信行為(調査への非協力・虚偽説明)があった場合、調査士は一方的に辞任することができるか。また、辞任した場合に損害賠償責任は生じるか。

答:正当な理由ある辞任として認められ、損害賠償責任は生じない。

解説:調査士と依頼者の契約は委任(民法643条)に準じる。民法651条1項は委任者・受任者双方にいつでも解除権を認めるが、相手方に不利な時期に辞任した場合は損害賠償責任を負う(同条2項)。ただし「やむを得ない事由」がある場合は賠償不要(同条2項ただし書)。依頼者の重大な背信行為はこの「やむを得ない事由」に該当する。土地家屋調査士法は業務の誠実遂行義務(土地家屋調査士法2条)を定めるが、信頼関係が破壊された場合まで継続を強制する趣旨ではない。不正目的が明らかになった案件を辞任することは、むしろ調査士の職業倫理上の要請でもある。


第3問【民法 — 相隣関係・境界確定訴訟】

問:隣地との境界が不明なため紛争が生じた場合、土地所有者は境界確定の訴えを提起できるか。また、境界確定訴訟において当事者が合意した境界線を裁判所は必ず採用しなければならないか。

答:訴えを提起できる。当事者の合意に裁判所は拘束されない。

解説:境界確定訴訟は、隣接土地の所有者を被告として筆界(公法上の境界)を確定させる訴えであり、形成訴訟と解されている(最判昭和31年12月28日民集10巻12号1639頁・一次資料での確認を推奨)。境界確定訴訟では申立事項拘束の原則(民事訴訟法246条参照)が緩和されると解されており、裁判所は当事者の申立てた境界線に拘束されず、客観的に合理的と判断する線を確定できる。また、当事者間の合意(和解)が法的に有効でも、筆界(登記上の境界)は当事者の意思で変更できないため(所有権界とは異なる)、裁判所は独自に判断する。実務では筆界特定制度(不動産登記法131条以下)の活用が先行するケースが多い。


第4問【測量計算 — 座標法による面積計算】

問:次の4点を頂点とする四角形土地の面積を、座標法(ガウスの公式)を用いて求めよ(単位:m)。

X座標 Y座標
A 10 0
B 10 20
C 0 20
D 0 0

答:200.00㎡

解説:座標法(ガウスの公式)による面積計算は次式による。

$$2S = \left| \sum_{i=1}^{n} (X_i \cdot Y_{i+1} - X_{i+1} \cdot Y_i) \right|$$

A→B→C→D→Aの順で計算する:

$X_i \cdot Y_{i+1}$ $X_{i+1} \cdot Y_i$
A→B 10×20 = 200 10×0 = 0 200
B→C 10×20 = 200 0×20 = 0 200
C→D 0×0 = 0 0×20 = 0 0
D→A 0×0 = 0 10×0 = 0 0

$$2S = |200 + 200 + 0 + 0| = 400 \quad \therefore S = 200.00 \text{ ㎡}$$

本問は10m×20mの長方形のため検算が容易。試験では小数第2位まで表示すること。巡る順序(時計回り・反時計回り)で符号が変わるが、絶対値をとるため面積は同じ。


第5問【作図書式 — 地積測量図の記載事項】

問:地積測量図に記載しなければならない事項(不動産登記規則77条1項)のうち、5つ挙げよ。

答:以下の5つ(同条1項各号より)。

① 地番区域の名称(1号)
② 方位(2号)
③ 縮尺(3号)
④ 地番(隣接地の地番を含む)(4号)
⑤ 地積及びその求積方法(5号)

解説:不動産登記規則77条1項はこのほかに「筆界点間の距離」(6号)、「基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値」(8号)、「測量の年月日」(10号)等も定めている(平成17年改正以降の図面から座標値記載が原則化)。古い地積測量図には座標値がないものも多く、再測量が必要となる場面がある。試験では「記載が必要なもの・不要なもの」の選択問題が頻出であり、縮尺・方位・地番(隣接地含む)の3点は特に落とせない。


出題分野の振り分け

分野 論点
第1問 不動産登記法(表示) 分筆+地目変更の一括申請(規則35条7号)
第2問 土地家屋調査士法 辞任・やむを得ない事由・損害賠償
第3問 民法・民事訴訟法 境界確定訴訟の法的性質・処分権主義の緩和
第4問 測量計算 座標法(ガウスの公式)による面積計算
第5問 作図書式 地積測量図の記載事項(規則77条1項)