第1問:不動産登記法(区分建物の表題登記)
問: 新築分譲マンションの売主(分譲業者)からその専有部分を購入した買主は、当該区分建物について表題登記の申請義務を負う(不動産登記法47条1項)。○か×か。
答: ×
解説: 不動産登記法47条1項は、新築した建物の表題登記申請義務者を「表題部所有者となる者」と定める。区分建物の場合、表題登記申請義務を負うのは当該区分建物の原始取得者(建築主・分譲業者等)であり(同法47条1項・48条)、分譲業者から専有部分を購入した買主は原始取得者ではないため申請義務者とはならない。また、区分建物の表題登記は、一棟の建物に属する全区分建物について同時に申請しなければならない(不動産登記法48条1項)。買主は、区分建物の表題登記完了後に所有権保存登記を申請する立場となり、この場合の申請適格には特則がある(不動産登記法74条2項)。「新築した者が申請義務者」という原則を、取得者にまで拡張して適用する典型的な誤解に注意。
第2問:土地家屋調査士法(守秘義務)
問: 土地家屋調査士は業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならない守秘義務を負うが(土地家屋調査士法24条の2)、この義務は登録が抹消され土地家屋調査士でなくなった後は消滅する。○か×か。
答: ×
解説: 土地家屋調査士法24条の2は、土地家屋調査士に対し業務上知り得た秘密の保持を義務付けるとともに、「調査士であつた者」にも同様に課されると明記しており、登録抹消・廃業後も守秘義務は存続する。弁護士法23条や司法書士法24条と同様の構造をとる。廃業後に守秘義務が消えると誤解しやすい論点。
第3問:民法(隣地使用権)
問: 令和5年4月1日施行の改正民法209条1項により認められた隣地使用権に基づき、土地所有者が境界に関する測量を目的として隣地を使用しようとする場合、隣地の所有者だけでなく、隣地を現に使用している者(居住者等)の承諾を事前に得なければならない。○か×か。
答: ×
解説: 改正民法209条1項は、境界標の調査または境界に関する測量等を目的とする場合に、隣地使用権を認める。使用前の手続については同条3項が定めており、隣地の所有者および隣地を現に使用している者に対し、使用の日時・場所・方法をあらかじめ通知しなければならない(通知義務)。しかし、承諾を得ることは要件とされていない。ただし、住家への立入については居住者の承諾が必要とされる(同条1項ただし書)という別の要件があり、これと混同しやすい。「通知」で足りる原則と、「住家の立入」に限って「承諾」が必要という例外を正確に分けて押さえること。
第4問:測量計算(座標法による面積)
問: 次の座標値を持つ4点を頂点とする多角形土地(P₁→P₂→P₃→P₄の順に結ぶ)の地積を、座標法(ガウスの公式)で求めよ。
| 点 | X座標 | Y座標 |
|---|---|---|
| P₁ | 0.00 | 0.00 |
| P₂ | 10.00 | 0.00 |
| P₃ | 8.00 | 6.00 |
| P₄ | 0.00 | 8.00 |
答: 62.00㎡
解説(計算過程):
座標法では、次式で倍面積(2S)を求める。
$$2S = \left| \sum_{i=1}^{n} X_i(Y_{i+1} - Y_{i-1}) \right|$$
(P₅=P₁、P₀=P₄として循環させる)
| i | Xᵢ | Yᵢ₊₁ | Yᵢ₋₁ | Xᵢ(Yᵢ₊₁−Yᵢ₋₁) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 0.00 | 0.00 | 8.00 | 0.00×(0.00−8.00) = 0.00 |
| 2 | 10.00 | 6.00 | 0.00 | 10.00×(6.00−0.00) = 60.00 |
| 3 | 8.00 | 8.00 | 0.00 | 8.00×(8.00−0.00) = 64.00 |
| 4 | 0.00 | 0.00 | 6.00 | 0.00×(0.00−6.00) = 0.00 |
$$2S = |0.00 + 60.00 + 64.00 + 0.00| = 124.00$$
$$S = 124.00 \div 2 = 62.00 \text{ ㎡}$$
書式答案では倍面積の表を縦に書き下ろし、最終行に絶対値をとって2で割る手順を明示する。符号の取り扱い(絶対値をとる)と、頂点の並び順に注意。
第5問:作図書式(地積測量図の記載事項)
問: 地積測量図において、境界標が設置されていない筆界点については「境界標なし」の旨を記録しなければならない(不動産登記規則77条1項9号)。○か×か。
答: ×
解説: 不動産登記規則77条1項9号は、地積測量図の記載事項として「境界標があるときは、当該境界標の種類」を掲げる。すなわち、記録義務が生じるのは境界標が存在する筆界点に限られ、境界標がない筆界点についてその旨を積極的に記録する義務は規定上存在しない。「あるときは種類を記録する」という条件付き義務を、「ないときは不存在の旨を記録する」という双方向の義務と誤解させる問いである。ただし実務上は、境界標の有無・種類を凡例で区別して図示するのが一般的であり、法定の記録義務と実務慣行を混同しないよう注意が必要。
出題分野の振り分け
| 問 | 科目 | 論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法 | 区分建物の表題登記申請義務者(原始取得者限定・不登法47条・48条) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 守秘義務の廃業後存続(調査士法24条の2) |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 隣地使用権の行使要件——通知で足り承諾不要(改正民法209条) |
| 第4問 | 測量計算 | 座標法(ガウスの公式)による地積算出 |
| 第5問 | 作図書式 | 地積測量図における境界標の記載義務の範囲(不登規則77条1項9号) |