第1問【測量法総論】

問: 測量法において「公共測量」とは何か。その定義と、実施にあたって必要な手続きを述べよ。

答: 公共測量とは、基本測量以外の測量で測量法第5条第1項に定める測量(国・地方公共団体・その他政令で定める者が費用の全部または一部を負担して実施するもの)をいう。実施にあたっては、あらかじめ国土地理院の長に測量計画書を提出しなければならない(法第39条)。

解説: 測量法は測量を①基本測量(国土地理院が実施)②公共測量③基本・公共測量以外の測量の3種に分類する。「費用の全部または一部を国・地公体が負担」という要件が公共測量の核心。計画書の提出先は「国土地理院の長」であり「都道府県知事」ではない点に注意。提出前着手は測量法違反となる。なお国土地理院の長は提出された計画書の内容について変更を求めることができる(法第40条)。


第2問【基準点測量/GNSS】

問: GNSS測量における「ネットワーク型RTK法(VRS方式)」と「スタティック法」を比較したとき、VRS方式が特に有利な点と留意点をそれぞれ挙げよ。

答: 有利な点は、単独の移動局だけで初期化後すぐに高精度測位が可能であり、基準局を設置する必要がない点。留意点は、①通信インフラ(携帯回線等)が必須、②配信サービス(国土地理院の電子基準点補正データ等)への依存、③多衛星取得が困難な場所(林内・峡谷)では精度劣化する点。

解説: スタティック法は同一衛星を長時間観測して基線ベクトルを決定するため高精度だが、2台以上の受信機と長い観測時間が必要。VRS方式は仮想基準点データを通信で受け取り、自機周辺に基準局があるかのように計算するためフィールドでの単独作業効率が高い。公共測量作業規程では用途別に使用可能な方式が定められている。


第3問【水準測量】

問: 1級水準測量において、観測の際に視準距離(前視・後視)に関して定められているルールとその理由を述べよ。

答: 1級水準測量では、視準距離は50m以下とし、かつ前視距離と後視距離の差は5m以内(1測点)、視準距離の累積差は10m以内とする(公共測量作業規程準則)。理由は、①視準距離を等しくすることで地球曲率差・大気屈折差を相殺し、②短くすることでレベルの鉛直軸誤差・焦点誤差の影響を減らすため。

解説: 地球の曲率と大気の屈折によって、同じ視準距離でも高低誤差が生じる(両差)。前視・後視の距離を等しくすることで両差が打ち消し合い、高精度な比高を得られる。この「等距離視準」は水準測量の基本中の基本であり、距離の累積差まで管理する規程の意義を理解しておく。


第4問【写真測量】

問: 航空写真測量において「重複度(オーバーラップ・サイドラップ)」が必要な理由と、公共測量で定められている標準的な重複度の値を答えよ。

答: 重複度が必要な理由は、①立体視による高さ計測を行うため(ステレオモデルの構成)、②撮影漏れ(空白域)をなくすため、③偏流・機体動揺による計画外の撮影ずれに対応するための安全域を確保するため。公共測量作業規程では、コース内の重複(オーバーラップ)は60%以上、隣接コース間の重複(サイドラップ)は30%以上を標準とする。

解説: 航空写真を60%以上重複させることで、隣接する2枚の写真で同一地物を左右から見た「ステレオペア」が形成され、視差から高さを計算できる。重複が不足すると立体モデルに穴ができ、面的な地形表現が不可能になる。UAV写真測量でも同様の考え方が適用される。


第5問【地形測量】

問: 数値地形測定(数値地形モデル作成)で用いる「TIN(不規則三角網)」と「グリッドデータ(ラスタDEM)」の特徴の違いを述べよ。

答: TINは計測点を直接頂点として三角形で結んだ不規則網であり、尾根・谷・崖等の地形の変化点を正確に表現できるが、データ構造が複雑。グリッドデータ(ラスタDEM)は規則的な格子点に高度値を配置したもので、処理が単純でGISソフトとの互換性が高いが、地形の変化点を格子サイズの精度でしか表現できない。

解説: TINは「サンプル点がどこにあっても三角形を形成できる」柔軟性が強みで、航空レーザ点群データからの変換に多用される。一方グリッドDEMは等間隔の格子なので地形の急変箇所では内挿誤差が生じやすい。測量士補試験では「地形変化点をどう扱うか」という観点からTINの特徴が問われる。


第6問【測量法・測量士補の資格】

問: 測量士補の業務範囲について、測量士との違いを法的根拠を示しながら説明せよ。

答: 測量士は「測量に関する計画を作製し、又は実施する」ことができる(法第49条)。測量士補は「測量士の作製した計画に従って測量に従事する」ことができる(法第50条)。すなわち測量士補は計画の作製権限を持たず、測量士が作成した計画に基づいて実施作業に従事することに限定される。

解説: 「計画の作製」とは測量方法・精度・使用機器等を決定する行為を指す。測量士補は現場作業者として位置づけられ、測量計画書の作成や成果検定の主体にはなれない。ただし測量士補は測量士試験の受験資格要件(測量士補として一定の実務経験)の1つでもあるため、キャリアパスとしての位置づけも重要。


第7問【路線測量】

問: 路線測量において「クロソイド曲線(緩和曲線)」が直線と円曲線の間に挿入される理由を、走行安全性の観点から述べよ。

答: 直線(曲率0)から円曲線(一定の曲率)に急変すると、走行車両に突然の遠心力が加わりハンドル操作が間に合わず危険となる。クロソイドは曲率が始点からの走行距離に比例して連続的に増加する曲線であり、これを挿入することで曲率をゼロから一定値まで滑らかに変化させ、ドライバーが段階的にハンドルを切れるよう設計できる。

解説: クロソイドのパラメータ A(A²=R・L:Rは円曲線半径、Lは緩和曲線長)が設計の基本。知識問題では「なぜ緩和曲線が必要か」「クロソイドの定義(曲率と弧長の線形関係)」「パラメータAの意味」が頻出。計算問題ではA²=RLを使った数値計算が定番。


第8問【河川測量】

問: 河川測量における「定期縦断測量」と「定期横断測量」の目的と、それぞれの計測対象を説明せよ。

答: 定期縦断測量は、河川の流路方向に沿った高低変化を記録し、河床・水面の勾配変化・洗掘・堆積の経年変化を把握するために行う。計測対象は河床最深点の高さ・水面高・堤防天端高等。定期横断測量は、流路に直交する断面形状を計測し、流積(流量計算の基礎)・堤防断面積・河床変動を把握するために行う。

解説: 縦断図では「河道の傾き」が、横断図では「断面積(流量計算)と護岸・堤防の状態」が読み取れる。河川整備計画の更新・洪水時の流量予測・災害後の被害把握に欠かせない。測量士補試験では縦断・横断の「何を測るか」「どの方向に測るか」の区別が問われる。


第9問【用地測量】

問: 用地測量における「筆界」と「所有権界」の法的な違いを述べ、測量士が境界確認作業でどちらを確認するかを答えよ。

答: 筆界は不動産登記法上の土地の登記単位(筆)を区切る公法上の境界であり、当事者の合意のみで変更できない。所有権界は民事上の所有権が及ぶ範囲の境界であり、当事者間の契約・時効等によって変動しうる。用地測量では原則として筆界を確認する。所有権界が筆界と異なる場合があるため、登記地積と実測地積の相違が生じることもある。

解説: 筆界と所有権界は一致するのが通常だが、長年の慣行や境界紛争で乖離することがある。用地買収の際に混同すると後に権利関係トラブルが生じる。近年の不動産登記法改正(筆界特定制度)も関連論点として押さえておくと良い。


第10問【地図編集】

問: 数値地図(国土地理院が公開する数値地形図データ)において「図郭」を用いず、緯度・経度の座標値によってデータを管理する理由を、紙地形図との違いを踏まえて述べよ。

答: 紙地形図は印刷・配布の都合上、地球を規則的な矩形(図郭)に分割して1枚1枚の地図として管理する。一方、数値地図はデータベース形式で座標値を持つため、任意の範囲・縮尺で切り出し・結合が可能であり、図郭という分割単位に縛られる必要がない。また GIS との連携・空間検索においても座標値管理の方が効率的である。

解説: 数値地図は「データの範囲を座標で定義する」という発想が根本にある。紙地形図では図郭番号を索引として地図を管理するが、数値地図のデータ自体は緯度・経度の座標値で管理される。測量士補試験では「なぜ紙地図と数値地図では管理方法が異なるか」という概念的な設問が出ることがある。


出題分野の振り分け

分野 キーワード
第1問 測量法総論 公共測量・計画書提出・国土地理院
第2問 基準点測量/GNSS VRS方式・スタティック法・ネットワーク型RTK
第3問 水準測量 視準距離・両差・等距離視準・1級
第4問 写真測量 オーバーラップ・サイドラップ・ステレオペア
第5問 地形測量 TIN・グリッドDEM・数値地形モデル
第6問 測量法(資格) 測量士・測量士補・業務範囲・計画作製
第7問 路線測量 クロソイド・緩和曲線・曲率・パラメータA
第8問 河川測量 定期縦断測量・定期横断測量・河床変動
第9問 用地測量 筆界・所有権界・筆界特定制度
第10問 地図編集 数値地図・図郭・座標値管理・GIS